🏠 マンション長期修繕計画の重要性
マンションに長く快適に住み続けるためには、建物の適切な維持管理が不可欠です。特に、経年劣化に対応するための修繕工事は重要で、そのためには「長期修繕計画」を適切に作成し、修繕積立金を計画的に積み立てる必要があります。
国土交通省は、マンションの適切な管理を促進するため、長期修繕計画に関するガイドラインを策定・改訂しています。このガイドラインは、マンションの資産価値を維持・向上させるための指針となります。
📝 長期修繕計画の主な改訂ポイント
令和3年9月(2021年9月)、国土交通省の「長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」と「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」が改訂されました。この改訂は、令和4年4月(2022年4月)から始まった「マンション管理計画認定制度」の認定基準にも反映されています。
⏱️ 計画期間の統一と延長
改訂前は新築マンションが30年以上、既存マンションが25年以上とされていましたが、改訂後は新築・既存マンションともに「30年以上かつ大規模修繕が2回以上含まれる期間」に統一されました。これは、より長期的な視点での計画を促すものです。
🔨 大規模修繕の周期見直し
従来の修繕周期の目安は12年でしたが、改訂後は「12~15年」と幅を持たせた周期に変更されました。これにより、各マンションの実情に合わせた柔軟な計画策定が可能になります。一般的に、1回目の大規模修繕は築15年以下、2回目は築26~30年、3回目は築41年以上が目安とされています。
💰 修繕積立金の目安更新
修繕積立金に関するガイドラインでは、目安となる㎡単価が更新され、既存マンションも対象とした修繕積立金の目安に係る計算式が見直されました。これは、必要な修繕費を確実に確保するための重要な変更です。
💡 その他の主な変更点
・見直し周期の具体化: 5年程度ごとに調査・診断を行い、計画を見直すことがより具体的に示されました。
・省エネ性能向上への対応: 省エネ性能を向上させる工事の有効性が追記されました。
・エレベーター点検の重要性: 定期的なエレベーター点検の重要性が明記されました。
国土交通省のガイドラインは、あくまで標準的なものであり、マンションごとの特性を考慮した計画を立てることが重要です。
📝 長期修繕計画 推定修繕項目、修繕周期等の設定内容
国土交通省より
「快適なマンション生活と良質なマンションストック形成のため、今後、長期修繕計画の作成・見直し時に管理組合内において意思決定を行ううえでの指針としてご活用ください。」とあります。
(様式第3-2号) 推定修繕工事項目、修繕周期等の設定内容 工事区分 推定修繕工事項目
Ⅰ 仮設
1 仮設工事
①共通仮設 仮設 12~15年 仮設事務所、資材置場等
②直接仮設 仮設 12~15年 枠組足場、養生シート等
Ⅱ 建物
2 屋根防水
①屋上防水(保護) 屋上、塔屋、 ルーフバルコニー 補修・修繕 12~15年 伸縮目地の打替え、保護コンクリート部分補修 撤去・新設 24~30年 下地処理、ウレタン塗膜防水通気緩衝工法
②屋上防水(露出) 屋上、塔屋 補修・修繕 12~15年 下地処理、保護塗装(トップコート塗り) 撤去・新設 24~30年 下地処理、改質アスファルト防水(撤去・新規防水)
③傾斜屋根 屋根 補修・修繕 12~15年 塗装・部分補修 撤去・新設 24~30年 既存屋根材を全面撤去の上、下地補修、葺き替え(ガルバリウム鋼 板等)
④庇・笠木等 庇天端、笠木天端、架台天端 修繕 12~15年 高圧水洗の上、下地処理、ウレタン塗膜防水 パラペット天端・アゴ等 修繕
3 床防水
①バルコニー床防水 バルコニーの床 (側溝、幅木を含む) 修繕 12~15年 高圧水洗の上、下地調整、ウレタン塗膜防水
②開放廊下・階段等床防 水 開放廊下・階段の床 (側溝、幅木を含む)修繕 12~15年 高圧水洗の上、下地調整、ウレタン塗膜防水
4 外壁塗装等
①躯体コンクリート補修 外壁、屋根、床、手すり壁、軒天(上げ裏) 補修 打替 12~15年 ひび割れ・欠損・爆裂補修
庇等 (コンクリート、モルタル部分)
②外壁塗装 (雨掛かり部分) 外壁、手すり壁等 塗替 12~15年 高圧水洗の上、下地処理、アクリルシリコン樹脂塗材除去・塗装 24~30年 既存塗膜除去、アクリルシリコン樹脂塗材(撤去・新規防水)
③外壁塗装 (非雨掛かり部分) 外壁、手すり壁等 塗替 12~15年 高圧水洗の上、下地処理、アクリルシリコン樹脂塗材 除去・塗装 24~30年 既塗膜除去、アクリルシリコン樹脂塗材(撤去・新規防水)
④軒天塗装 開放廊下・階段、バルコニー等 塗替 12~15年 高圧水洗の上、下地処理、軒天(上げ裏)部分 アクリルシリコン樹脂塗材
⑤タイル張補修 外壁・手すり壁等 補修 12~15年 欠損・亀裂・浮部分補修、タイル面洗浄、磁器質タイル貼替え
⑥シーリング 外壁目地、スリーブ周り、建具周り、部材接合部等 12~15年 コンクリートの打継ぎ目地、サッシ回り、タイル伸縮目地のコー キング打替え、外壁塗装等 庇天端、笠木天端、パラペット天端・アゴ、架台天端等 修繕 24~30年 除去・塗装 24~30年 既塗膜除去、アクリルシリコン樹脂塗材(撤去・新規防水)
5 鉄部塗装等
①鉄部塗装 (雨掛かり部分) (鋼製)開放廊下・階段、バルコニーの手すり 塗替 5~7年
ケレン・錆止め・塗替(鋼製)屋上フェンス、設備機器、立て樋・支持金物、架台、避 難ハッチ、マンホール蓋、隔て板枠、物干金物等 塗替 5~7年 ケレン・錆止め・塗替
屋外鉄骨階段、自転車置場、遊具、フェンス 塗替 5~7年 ケレン・錆止め・塗替
②鉄部塗装 (非雨掛かり部分) (鋼製)住戸玄関ドア 塗替 5~7年 ケレン・錆止め・塗替
(鋼製)共用部分ドア、メーターボックス扉、手すり、照明器具、 設備機器、配電盤類、屋内消火栓箱等 ケレン・錆止め・塗替 塗替 5~7年
③非鉄部塗装 (アルミ製・ステンレス製等)ドア、手すり、避難ハッチ、換気口等 サッシ、面格子 清掃 12~15年 清掃・養生
(ボード、樹脂、木製等) 隔て板・エアコンスリーブ・雨樋等 塗替 12~15年 下地処理、 塩化ビニル樹脂塗料塗装
6 建具・金物等
①建具関係 住戸玄関ドア、共用部分ドア、自動ドア 点検・調整 12~15年 点検、補修 取替 34~38年 建具取替、スチール枠被せ
窓サッシ、面格子、網戸、シャッター 点検・調整 12~15年 点検、補修 取替 34~38年 建具(掃出しアルミサッシ、面格子)取替、アルミ枠被せ
②手すり 開放廊下・階段、バルコニーの手すり、防風スクリーン 取替 34~38年 防風スクリーンの取替
③屋外鉄骨階段 屋外鉄骨階段 補修 12~15年 点検、補修 取替 34~38年 アルミ製トップレール取替
④金物類 (集合郵便受等) 集合郵便受、掲示板、宅配ロッカー等 取替 24~28年 ステンレス製集合郵便受取替
笠木、架台、マンホール蓋、避難ハッチ、階段ノンスリップ、タ ラップ、排水金物、室名札、立て樋・支持金物、隔て板、物干金物、スリーブキャップ等 取替 24~28年
隔て板、ポーチ門扉取替 竪樋、ステンレス製 避難ハッチ 屋上フェンス等 取替 34~38年
⑤金物類 メーターボックスの扉、パイプスペースの扉等 取替 34~38年 スチール製扉取替(メーターボックス扉 等)
7 共用内部
①共用内部 管理事務室、集会室、内部廊下、 張替・塗替 12~15年 補修及び仕上材貼替等 内部階段等の壁、床、 天井 張替・塗替 12~15年 (壁)下地処理 砂壁状仕上塗材 エントランスホール、(床)大理石貼欠損・亀 裂部分補修 エレベーターホールの壁、床、天井(天井)下地処理、塗替
Ⅲ 設備
8 給水設備
①給水管 屋内共用給水管 更生 19~23年 屋内共用給水管、屋外共用給水管 取替 30~40年
②貯水槽 受水槽 補修・取替 12~16年 26~30年目に取替(同等品) 高置水槽 補修・取替 12~16年 26~30年目に取替(同等品)
③給水ポンプ 揚水ポンプ、加圧給水ポンプ、直結増圧ポンプ、弁類等 補修 5~8年 分解整備 取替 14~18年 取替(同等品)
9 排水設備
①排水管 屋内共用雑排水管 更生 19~23年 屋内共用雑排水管、汚水管、雨水管 取替 30~40年
②排水ポンプ 排水ポンプ、弁類等 補修 5~8年 取替 14~18年取替(同等品)
10 ガス設備
①ガス管 屋外埋設部ガス管、屋内共用ガス管 取替(更新) 28~32年
11 空調・換気設備
①空調設備 管理事務室、集会室等のエアコン 取替 13~17年 取替(同等品)
②換気設備 管理事務室、集会室、機械室、電気室等の換気扇、ダク ト類、換気口、換気ガラリ 取替 13~17年 取替(同等品)
12 電灯設備等
①電灯設備 共用廊下・エントランスホール等の照明器具、配線器具、非常照明、避難口・通路誘導灯、外灯等 取替 18~22年 取替(同等品)
②配電盤類 配電盤・プルボックス等 取替 28~32年 取替(同等品)
③幹線設備 引込開閉器、幹線(電灯、動力)等 取替 28~32年 幹線ケーブル引替
④避雷針設備 避雷突針・ポール・支持金物・導線・接地極等 取替 38~42年 取替(同等品)
⑤自家発電設備 発電設備取替28~32年
13 情報・通信設備
①電話設備 電話配線盤(MDF)、中間端子盤(IDF)等 取替 28~32年 取替(同等品)
②テレビ共聴設備 アンテナ、増幅器、分配器等 ※同軸ケーブルを除く 取替 15~20年 取替(同等品)
③インターネット設備 住棟内ネットワーク取替28~32年設備交換
④インターホン設備等 インターホン設備、オートロック設備、住宅情報盤、防犯設備、配線等 取替 15~20年 取替(同等品)
14 消防用設備
①屋内消火栓設備 消火栓ポンプ、消火管、ホース類、屋内消火栓箱等 取替 23~27年 取替(同等品)
②自動火災報知設備 感知器、発信器、表示灯、音響装置、中継器、受信器等 取替 18~22年 取替(同等品)
③連結送水管設備 送水口、放水口、消火管、消火隊専用栓箱等 取替 23~27年 取替(同等品)
15 昇降機設備
①昇降機 カゴ内装、扉、三方枠等 補修 12~15年 (かご内装・枠・扉)下地処理 化粧樹脂フィルム貼り
全構成機器 取替 26~30年 制御リニューアル(モーター、制御盤他取替)
16 立体駐車場設備
①自走式駐車場 プレハブ造(鉄骨造+ALC) 補修 8~12年 床面補修、鉄部塗装 建替 28~32年
②機械式駐車場 二段方式、多段方式(昇降式、横行昇降式、ピット式) 垂直循環方式等 補修 5年 補修(部品取替) 取替 18~22年 装置入替リニューアル
Ⅳ 外構・その他
17 外構・附属施設
①外構 平面駐車場、車路・歩道等の舗装、側溝、排水溝、擁壁等 補修 24~28年 インターロッキング、アスファルト舗装
囲障(塀、フェンス等)、サイン(案内板) 、遊具、ベンチ 等 取替 24~28年 塗装補修 及び 取替(同等品)
埋設排水管、排水桝等※埋設給水管を除く 取替 24~28年
②附属施設 自転車置場、ゴミ集積所 取替 24~28年 植樹 整備 24~28年
18 調査・診断、設計、工事監理等費用
①点検・調査・診断 大規模修繕工事の実施前に行う点検・調査・診断 10~12年
②設計、コンサルタント 計画修繕工事の設計(基本設計・実施設計)・コンサルタ ント 12~15年
③工事監理 計画修繕工事の工事監理 12~15年
④臨時点検(被災時) 建物、設備、外構 -
19 長期修繕計画作成費用
①見直し 長期修繕計画の見直しのための点検・調査・診断、長期修繕計画の見直し 5年
(注) 現場管理費及び一般管理費は、各項目ごとの工事費(単価)に含む。
Ⅴ 性能向上工事項目(例)(必要に応じて、Ⅱ建物又はⅢ設備に追加する。)
(1) 耐震 耐震壁の増設、柱・梁の補強、免震、設備配管の補強、耐 震ドアへの交換、エレベーターの着床装置・P波感知装置の 設置等 改良 年
(2) バリアフリー スロープ、手すりの設置、自動ドアの設置、エレベーターの設 置・増設 改良 年
(3) 省エネルギー 断熱(屋上、外壁、開口部)、昇降機、照明等の設備の 制御等 改良 年
(4) 防犯 オートロック、防犯カメラの設置等 改良 年
(5) その他 ・情報通信(インターネット接続環境の整備等) 改良 年
・給水方式の変更(直結増圧給水方式への変更等)
・電気容量の増量(電灯幹線の増量等)
・利便施設の設置(宅配ボックス等)
・エレベーターの安全性向上(戸開走行防止装置の設置等)
・外部環境(外構、植栽、工作物等の整備)
Ⅵ 専有部分工事項目(専有部分配管)(例)(必要に応じて、「Ⅰ仮設」~「Ⅳ外構・その他」とは別項目として追加する。)
①専有部分配管(※) 専有部分給水管、専有部分雑排水管、専有部分汚水管 取替 28~32年 共用給排水管の取替と同時に実施 ※屋内共用給水官・排水管等と同時かつ一体的に行う工事に限る
Ⅶ 諸経費等 (例)上記工事項目と区別して設定する場合
・現場管理費
・一般管理費
・法定福利費
・大規模修繕瑕疵保険の保険料 等